初めての「会社案内」のつくり方コラム

(1)最初に知っておいていただきたいこと

目的はさまざま

不動産会社のパンフレットに必要なもの

「会社案内」は何のためにつくるのでしょうか。その目的はさまざまです。これまで私たちが経験したケースでは、「周年記念でつくりたい」や、「スタッフの仕事への誇りと希望を改めて確認するものにしたい」、あるいは「投資家も意識してつくりたい」などの目的を絞って依頼されるケースがありました。人材募集を効果的に進めるために、求人パンフと共に会社案内を見直す場合や、最近ではSDGsを意識した内容でまとめるケースも見られます。

会社を知ってもらうために

このようにさまざまな目的をもつ「会社案内」ですが、特にこのコラムを読んでいただいている皆さまは、初めてのお客さまに会社を知っていただくための会社案内をお考えだと思います。
何によって社会に貢献している会社なのか、他社の製品・サービスと比べてどんな優位性があるのか、お付き合いいただく上で信頼していただける点はどのようなところなのか。これらの点をインパクトのある表現で、いかに分かりやすく伝えられるかどうかがポイントになります。

自信をもって見ていただける会社案内を

会社を知ってもらう場面としては、製品やサービスをご説明に伺った際に、お渡しするケースが、まず浮かびます。そんなとき、説明する社員の方がページを開きながら自信をもって説明できれば、信頼を勝ち取る大切なツールになります。展示会で製品リーフレットと共に並べて手に取っていただく場合も多いでしょう。
いずれにしても、自信をもってお客さまに見せられる会社案内を、皆さまといっしょにつくり上げていきたいと思います。
初めて会社案内をつくるケースでは、全体のコンセプトを共有する作業から始めることが多くなります。私たちはこの作業を「企画」と呼んでいます。この「企画」のなかには、会社が最も大切にする理念や全体構成(各ページに入れ込む内容)を決める作業が含まれます。
お客さまの方で充分に準備ができている場合は、この段階を飛ばしてコピーライティングからデザイン作業に入ります。デザインの段階では紙面のデザインのほかに写真の撮影なども入ります。

(2)コンセプトと全体構成を共有する

コンセプトって何?

会社案内をつくる際の出発点は、コンセプトと全体構成の共有で、私たちが「企画」と呼んでいるステップです。コンセプトは、企業姿勢や理念を表し会社案内を貫くキーとなる考え方となります。全体構成は各ページに入れ込む要素を全ページ決めることです。

まずはフランクなトークから

会社案内の役割を大きく捉えれば、(1)事業内容の紹介(2)事業の差別化ポイントの訴求(3)会社概要の案内に大別されます。これをもとに全体的な、社会に向けた会社としての姿勢を冒頭に配し、事業案内とその強みを中心に、事業所紹介・実績紹介・環境施策・会社概要などで構成されます。
まずはフランクに会社の紹介をしていただき、いくつか質問をさせていただくことから始めます。会社を作った思いや他社と異なる製品・サービスの特長などをお聞きし、お話しが煮詰まるなかで会社案内のコンセプトと全体構成も見えてきます。このように、企画の作業はお客さまとの共同作業と考えています。

コピー作成のためのインタビュー

コンセプトとページ構成にご了承いただけたら、具体的に文章を作成するためのインタビューに進みます。
ここでは事業の責任者の方に、全体構成の中身となる事業のアピールポイントと、それを可能にしている企業文化やシステム、設備など具体的な特性を伺います。これによって、企業の理念や強みを総合的に捉えることができ、コピーとしてのアピールに結び付けることができます。
いずれも、既存の会社案内のリニューアルの場合は、追加・修正個所を明確化してお訊きします。掲載する内容によっては、資料などで情報提供いただいてコピーを作成いたします。

(3)デザインについて

デザイン作業のポイント

デザイン作業の中心は、ページの目的に沿って必要な文章や画像などの要素を適切に配置し、コンセプトに沿って見える形に実現することです。最初の段階で表紙のデザインと中ページの共通するデザインフォーマットを作成してお客さまに確認をいただきます。表紙は第一印象なので、複数案提示してお客さまのイメージとすり合わせていきます。中ページは背景や共通色、場合によってはヘッダーやフッターなどを決めてかかる場合もあります。多くの場合、中ページは背景白、掲載する画像や文字の配置に充分な空きをとって安定感を獲得するのが会社案内の定石といえるでしょう。使う色やフォントもあまりカラフルにしないのが定石です。ただし、あえて定石を破るところにデザインの面白みが出ることがあります。企画の段階でコンセプトを充分に確認し、個性豊かな会社案内を目指すのも楽しいものです。

さまざまな写真や図表を駆使

写真や図表は言葉では伝えきれない情報を伝える重要な要素です。会社や店舗の写真、製品やサービスを表す写真、それらを説明する図表・イラストなど、さらに会社やブランドのロゴなどがあります。さらに、コピーライターと協力して文字数と配置を調整します。お客さまから支給いただく写真以外のイメージ写真やサービス・商品の写真など、必要に応じてカメラマンに撮影を依頼したり、購入を手配するのもデザイナーの仕事です。お預かりした写真の明るさを調整し、商品写真の映り込みや汚れは画像ソフトを用いて修正します。

印刷まで責任をもって対応

デザイナーは、以上の作業をまとめて印刷用データを作成します。会社案内の多くはA4サイズでオフセット印刷、中綴じあるいは無線綴じになりますが、当社は印刷工程を専門の印刷会社に依頼します。必要に応じて色校正も提出しますが、色の管理も進んでいるので多くの場合はコストのかかる色校正を必要とせず印刷・納品が可能になっています。