有料老人ホーム―毎日を預かる信頼のためにコラム

ほぼ共通するアピールテーマ

有料老人ホームのPRで訴求すべきテーマはおよそ決まっています。これは、特別養護老人ホームであっても、月の利用料が10万円でも100万円であっても変わりません。

印刷メディア(パンフレット)を想定してアトランダムに挙げてみると次のようになります。(1)介護コンセプト(2)居室含めた設備紹介(3)介護体制(4)リクリエーション(5)食事内容(6)医療・リハビリ体制(7)スタッフ研修体制。

このほか、申込みに関わるパンフレットを別にして(8)料金表(9)入居までの流れ(10)入居条件を、さらに事業主体の企業(グループ)の案内を別にして、(11)企業メッセージ(12)会社概要(13)事業拠点(14)グループ体制(15)地域貢献活動 などを入れるケースもあります。(8)以降のテーマは、このように別冊子としてメインパンフに挟み込んだり、メインパンフの中に適宜、入れこんだりフレキシブルに対応します。

有料老人ホームにも当然、WEBサイトが必要ですが、訴求すべきテーマはやはり変わりません。もちろん「申込み」「問合せ」「資料請求」「見学予約」などのコミュニケーションを促すボタンや、「スタッフブログ」などWEBサイトならではの機能や画像が加わって、情報量は印刷メディアより多くなりますが、基本的な要素は同じです。

むしろ、申込みに関わる情報はWEBサイトでは言及せず、関連情報をまとめたパンフレットを作成し、面接の機会にこれを利用・説明する場合も多いようです。

差別化ポイントの明確化

情報が限られるパンフレットで大切なのは、情報を網羅的に掲載するのではなく、差別化ポイントをいかに明確化するか、です。同業他社が行っていないサービス・設備や、品質の面で上回るサービス・設備を際立たせることで、ホームの最大の魅力が印象強く伝わります。

ただ、大切な家族を預ける場所なので、「信頼性」に勝るサービスはありません。根柢でそれを忘れず、語るべき事柄のなかから「これが我がホームの特色」と言える価値をピックアップすることが求められます。

例えば「食事」は生きる基本であり、また老後の楽しみの大きな要素ですので欠かすことができません。ただ、「栄養バランスのとれたメニュー」や、「イベントの日は趣向を変えた特別メニュー」などの情報は、程度の差こそあれどこでもアピールしている点ですので、明確に差別化されたポイントがない限り、特に重要なサービスとして扱う必要はありません。

オンリーワンの介護コンセプトを

介護コンセプトは、一般的な会社案内における企業メッセージに当たりますが、事業主体と切り離した有料老人ホーム単独のパンフレットの場合、ここで介護に対する姿勢つまり入居される方にどのような心構えで接するかについて語ることになります。

多くのホームで「笑顔」「幸せな日々」「安心・快適」などの言葉を使ってしまうのは、避けられないことかもしれませんが、ここで発する一言こそ、読まれる方の心に響く差別化ポイントになり得ますので、日頃から進められているケアの中心にある思いを抽出しオンリーワンの表現を目指す必要があります。

ターゲットの印象を左右する、こうした介護コンセプトやホームの差別化ポイントは、お客さまとのフリーな話し合いのなかで質疑応答しながら見出していきます。パンフレットの制作を進めるに当たって私たちは、この話し合いの場をスタートに設定します。

信頼と安心が求められるデザイン

有料老人ホームのパンフレットでは、入居されるご本人はもちろんお子さまの世代が選ぶケースも想定しなければなりません。その場合、コピーを読むことで優位性を理解していただく前に、パンフレットのデザインがもたらす好感度が第一印象を決定づける可能性も高くなります。それは、「ご両親が少しでも快適に」と願うお気持ちがあるからと言えます。

入居希望者でもそのお子さまでも、ご覧になる方の第一印象を左右するのは、生き生きと過ごす入居者の方の笑顔、そして入居者と介護スタッフの方々が明るくコミュニケーションする姿です。清潔感と明るさに配慮した撮影ポイントやライティングから生まれる日常のワンカットにこそ、プロのカメラマンの技量が必要です。一方で、プライバシーに充分配慮した形での入居者の撮影は難しい面もあります。もしも肖像権の問題が生じた場合は、プロの高齢者モデルの活用も検討が必要になります。このほかホームの居住環境、設備、行事、ロケーションなど紹介に必要な一連の画像も、信頼できるプロのカメラマンと打合せしながら進めてまいります。

こうして得られた画像は、前述の介護コンセプトのページを筆頭に、ホームの特色、基本設備や生活環境の紹介、安心して任せられる介護体制まで、漏れなく的確に配置・レイアウトすることが大切です。

また、有料老人ホームの場合、入居される方はもちろん、そのお子さまも既に壮年期を過ぎていらっしゃることも重要なファクターです。年齢を考慮し文字の大きさなどにメリハリをつけるなど丁寧なデザインの工夫も印象を左右する要素の一つです。

私たちはこうしてデザイン面からも、選択肢に残る有料老人ホームの案内を実現していきます。